ホラー映画友の会

ホラーファン歴30年、今まで見てきたホラー映画を紹介します。

「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」 北米で放送禁止になった三池崇史監督作品

「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」
(原題:IMPRINT)
2006年アメリカテレビシリーズ




三池崇史監督の短編です。
ホラー映画界の大御所監督がそれぞれ1時間程度の持ち時間で、一話完結の短編を持ち寄って放送されたテレビシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」。その1stシーズンに含まれていた作品。
このプロジェクトに参加したのは、ジョン・カーペンター、ジョン・ランディス、トビー・フーパー、ダリオ・アルジェント、ジョー・ダンテ、ドン・コスカレリなどなど、どの監督もホラー映画ファンなら一度は聞いた事のある超有名監督ばかり。
その中に三池監督が入っていると聞いた時は、同じ日本人としてヒジョーに誇らしかったです。
ところがです。残念なことに「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」はアメリカでは放送されなかったそうです。
余りにも凄まじい内容であるため、テレビ局側が三池監督のこの作品のみ放送を見送ったとか。
残酷描写には甘いアメリカのケーブルテレビでさえ放送できないなんてどんな作品だったのか…

惚れた女郎、小桃を探して離島の遊郭を訪れたアメリカ人記者クリストファー。
しかし島の人間から小桃の情報は得られず、一泊して翌朝の船で帰る事にした。
その夜、クリストファーは遊郭の陰に潜むように佇んでいた女郎の事が気になり、部屋に呼び寄せた。
部屋の明かりに照らし出された女の顔は、半分が鬼のようにつり上がった奇形だった。
その女に小桃の事を尋ねると、男が迎えに来るのを待っていたが、つい先日死んで葬られたと聞かされる。
絶望するクリストファーにそっと寄り添う女。
女が身の上話を語り始めるとその不幸な生い立ちに興味を惹かれた男は、次々と過去を聞き出そうとする。
そのうち女は、遊郭の女主人の指輪を盗んだ事を白状し、その犯人と間違われた小桃が惨たらしい拷問を受け、そして、瀕死の小桃を極楽へ送るために自分が絞殺した事を告白する。
激高するクリストファーに対し、自分が過ごした異常な幼少期からの人生を語り出し、そして、衝撃の事実を明かす。。。

これはね、ちょっと危険な映画です。
一人の女を探しに来たせいで次々と色々な事実が明らかになっていくのですが、それがどれも病んでるエピソードでヤバイ。
明かされてゆく内容が、奇形、シャム双生児、近親相姦、堕胎、嬰児殺し、親殺し…といったタブーの盛り合わせ。
一般的な映像作家が描くのを躊躇しそうな内容を全部盛り込んで描いちゃった感じです。
遊郭で客引きやってる小人のおばさんなんて、梅毒かなんかで鼻が半分無いし。
これじゃ確かに放送できませんね。

小桃の拷問シーンも酷い。
束ねて火をつけた線香を脇の下に押し付けたり、手の全部の爪の間に針をブスブス刺したり、唇をめくって歯茎に針を刺したりと、見てるだけで神経が疼くような痛いシーンの連続。
三池監督自身も出演したイーライ・ロス監督「ホステル」の拷問シーン以上でした。
ここまで痛いのは「キラー・デンティスト」以来かな(汗)

そんな容赦のない映像で、三池監督はベテラン大物ホラー映画監督たちを差し置いて放送禁止という快挙を成し遂げた訳です。

ドロドロした暗い舞台でありながら、照明や登場人物の髪に色を付けたり、また衣装デザインもちょっとモダンになってたりと、作品全体がポップかつ毒々しい雰囲気に彩られています。
日本の山村の風景が幻想的に映し出されます。
テーマはえげつないのにどことなくアーティスティック。
三池監督、すごいです。

出演者は、奇形の女郎に工藤夕貴。彼女で持ってる映画といっても過言じゃない存在感です。
クリストファー役は、「アンタッチャブル」で殺し屋を演じたビリー・ドラゴ。
女郎の女主人は、朝ドラ「まれ」で掃除のおばちゃんを演じていた根岸季衣。
小桃を虐める拷問人が「ぼっけえ、きょうてえ」の原作者である岩井志麻子。←怖すぎ 

出ている俳優は日本人が中心ですが、言語は英語です。
日本語吹き替えで見た方が雰囲気がありそうなのですが、残念ながらDVDは英語音声&字幕のみ。
ちょっと残念ですね。

撮影手法は日本映画的な長回しが中心です。
舞台の演技をそのまま録画したような撮り方ですね。
個人的にはアメリカ映画のように細かくカットを分け、状況を見せる引きの映像と、登場人物の表情を見せる寄りの映像を使い分けた方が好きなのですが、海外で勝負するにあたっては日本的な見せ方の方が効果的ですね。

実は、DVD発売前から見たいと思っていたにも関わらず、60分の短編DVDにお金を出すのが何となく惜しくて見てなかったんです。
で、ちょっと前に意を決して購入して見たのですが、いや~、例え短編でもこれはお金を出す価値は十分にありますね。
下手な90分の劇場用映画を買うより全然濃厚。
日本のホラー映画新時代を築いた一本として激しくお勧めします♪



テーマ:ホラー映画 - ジャンル:映画

  1. 2015/09/28(月) 00:41:44|
  2. ホラー
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