ホラー映画友の会

ホラーファン歴30年、今まで見てきたホラー映画を紹介します。

「ソイレント・グリーン」 食糧難に陥った人類が選んだ道は…

「ソイレント・グリーン」
(原題:SOYLENT GREEN)
1973年アメリカ映画




SF映画の隠れた名作です。
監督は「ミクロの決死圏」「トラ・トラ・トラ!」のリチャード・フライシャー

2022年のニューヨークが舞台。
環境破壊により大半の動物や植物が死滅し、そこへ大幅な人口増加が拍車をかけた事により食料が不足。
食料は政府が管理し、市民にはプランクトンなどから作られた合成食料「ソイレント・グリーン」を配給していた。
ある日、「ソイレント・グリーン」を製造している企業幹部が暗殺され、チャールトン・ヘストン演じる刑事が捜査を担当する事になる。
刑事は同居人の生き字引とも言える老人の手を借り、捜査を進めていく。
事件の謎へあと一歩のところで上層部から捜査終了を告げられてしまう。
そんな時、事件の真相を知ってしまった同居人の老人は、社会に絶望し、安楽死施設へと入所してしまう。
老人を引き止めるために施設へ乗り込んだ刑事だったが、安楽死の処置が行われた後で、静かに最後の時を待っていた。
死の間際、老人は刑事に事件の真相を話す(この時点で観客には事件の真相が伏せられている)。
それを確かめる為、安楽死施設の内部へと侵入し、施設から運び出される遺体を満載したトラックに忍び込んだ。
トラックは郊外の巨大な工場へと辿り着く。
そこでは運び込まれた遺体が巨大なタンクの中に次々と沈められてゆく。
そのタンクから伸びたラインを辿っていった先にあるベルトコンベアには、大量のソイレント・グリーンが生み出されていた。
ソイレント・グリーンは人間の遺体から作られた食品だったのだ!
秘密を知ってしまった刑事は工場から逃げ出すものの銃撃されて重傷を負うが、間一髪のところで救出される。
担架で運ばれる刑事は叫ぶ。「ソイレントグリーン人肉だ!」

…と、豪快に端折りながらも、衝撃のラストまで一気にネタばらししてやりました(笑)
未見の方、ごめんなさい。

SFですが、この映画は当時問題になっていた公害や人口増加、体制への反発などを盛り込んでいます。
この作品に描かれた空想世界は、現代の目で見ると絵空事では済まされない現実的な物として映ります。
40年も前に製作された映画で、現在人類が直面している問題を描いていることに驚きます。

子供の頃、テレビで見てゾーッとした事を覚えていますが、一箇所理解できなかったのが家具人間のくだり。
富裕層は、若くて美しい女性を「家具」として自宅に置く事が許されています。
子供の頃は理解できなかったのですが、今改めて見ると恐ろしい事です。
人が溢れたこの社会では、一般市民の人権が軽視されています。
刑事が住むアパートでは、家を失った市民達が共用部分で折り重なるように寝泊りしている。
また体制に反発する者はゴミを排除するかのように、トラックの荷台に放り込まれて運ばれてゆきます。
財力の無い若い女性がそんな社会で人間らしく暮らす手段として選んだのが、金持ちの自宅のインテリアとして飼われる事。
自らの人権を放棄し、家具として生きることを選ぶという狂気に背筋が凍る思いがしました。

刑事と暮らす老人も「本」と呼ばれています。
失われた時代を知っており、長年積み重ねてきた知識を持っている一部の博学な老人達はこのように呼ばれています。
老人もそう呼ばれる事を受け入れているように見え、人を物として扱うのが当たり前になっているという事なのでしょう。

そんな狂った社会では、安楽死が認められており、暮らしに疲れた大勢の市民が自らの意思で安楽死施設へ足を運びます。
そこでは、ベートーベンの田園等の美しい音楽とともに、大昔に失われた美しい地球の風景や動物の姿が巨大なスクリーンに映し出されます。
地球の大自然に抱かれるようにして安楽死の処置が行われます。
そしてその遺体が飢えた市民の食料に加工されていく。。。もう尊厳もへったくれもありません。本当に恐ろしいです。

派手な仕掛けやアクションは無く、控え目な演出からかあまり話題になる事はありませんが間違いなく名作です。
絶望的な未来社会を淡々と描く事で見るものに将来への危機感を与えます。
いや、今となってはまだ見ぬ将来ではなく、目にしている現在を見せつけられているのかもしれません。

消費される為に作られる商業映画で溢れた今、こういったメッセージ性のある娯楽作品はとても高尚に見えますね。


テーマ:SF映画 - ジャンル:映画

  1. 2013/12/27(金) 17:18:02|
  2. SF
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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