ホラー映画友の会

ホラーファン歴30年、今まで見てきたホラー映画を紹介します。

「悪魔のいけにえ」のトビー・フーパー監督死去。。。

新しい一週間が悲報と共に始まりました。

トビー・フーパー監督が亡くなったそうです。。。
あの「悪魔のいけにえ」の…なんて説明するのもおこがましいくらい、現代のホラー映画に多大なる影響を与えた偉人ですね。
「悪魔のいけにえ」は子供のころから何度見た事か。
VHSに始まり、DVD、Blu-ray、バージョン違いも含めて何度も買い直してきました。
何度見直しても、体がその恐怖、嫌悪感に慣れることはなく、見る度に自らのトラウマに塩をすり込むかのよう。
オープニングのストロボと共に神経を逆なでする効果音に、いかれたヒッチハイカー、重々しい引き戸、痙攣する被害者、懐中電灯に照らし出されるレザーフェイスの顔、サリーの眼球のアップ、チェーンソーのエンジン音…視聴者の精神を徹底的に痛め付けるために作ったのでは?と思えるほどダメージを受けます。
こんな映画は他に見た事がありません。
そんな作品を作り上げたトビー・フーパー監督の訃報は、世界の映画界、映画ファンにとって大損失ですね。

とはいえ、「悪魔のいけにえ」以外に手掛けた映画で傑作と呼べるほどの作品は無く、どれもぼちぼちな出来です。
個人的に「悪魔のいけにえ」に次ぐ傑作!と太鼓判を押す「悪魔のいけにえ2」も、世間では散々な評価ですし。
トビー・フーパーファンとして何となく感じるのは、「悪魔のいけにえ」の成功でハリウッドに招かれて撮るようになったそれ以降の作品は、監督の作風と映画が噛み合っていないように見えます。
ロケがドキュメンタリーのような臨場感を生んでいた「いけにえ」に対し、ハリウッド1作目の「悪魔の沼」は、スタジオと作り物の中で生み出されたことがはっきりと分かりました。
飼っているワニの餌にするため、宿泊客を大鎌で殺しまくるモーテル経営者というショッキングなネタなのに、全然怖くない。
常軌を逸したストーリーが、逆に作り物っぽさを助長してしまうという残念な結果でした。
テレビ映画として撮ったスティーブン・キング原作の「死霊伝説」は、テレビという規制の中だから毒が無い代わりに、ゴシックホラーのような作品も撮れるんだということを見せてくれたように思います。
続く劇場用作品「ファンハウス/惨劇の館」では、リック・ベイカーのクリーチャーを活かし切れず、もはやトビー・フーパーじゃなくても良かったのでは?というくらい普通のB級スラッシャーものでしたが、これがスティーブン・スピルバーグの目に留まって大作ホラーファンタジー「ポルターガイスト」の監督に抜擢されます。
ところが、実質的な監督はスピルバーグと言われるくらいに望んだ仕事はさせてもらえなかった模様で、それ以降はB級映画で破竹の勢いだったキャノンフィルムで、「スペースバンパイア」「スペースインベーダー」そして私の大好きな「悪魔のいけにえ2」を撮ることになります。
B級専門の映画会社とはいえ、贅沢なスタッフと、それなりの予算が与えられ、評価はそこそこながらもファンを喜ばせるには十分な作品たちでしたね。
その後は数年おきにポロポロとホラー映画を撮っていましたが、どれも微妙な出来。
近年は、劇場用作品よりもテレビ用に作られた短編の方が記憶に残っています。

初期の「悪魔のいけにえ」が神がかり的な出来栄えだったため、若くして伝説のホラー作家として祀り上げられてしまいましたが、それがトビー・フーパーにとって幸運だったのか、それとも不運だったのか。。。
でも「悪魔のいけにえ」は歴史的な傑作ホラー映画として、これからもトビー・フーパーの名前と共に語り継がれていくのは間違いないですね。

今夜は「悪魔のいけにえ」の一作目と二作目を鑑賞しつつ、トビー・フーパー監督のご冥福をお祈りしたいと思います。

それにしても、一昨年はウェス・クレイヴン監督が、昨年はハーシェル・ゴードン・ルイス監督、そして今年はジョージ・A・ロメロ監督とトビー・フーパー監督が亡くなってしまいました。
子供のころから親しんできた監督たちが次々とこの世を去ってしまい、どんどん寂しさが募ります。。。
間もなくホラー映画の一時代が終わろうとしているのは間違いありません。
他のベテラン監督さんたちにはどうか長生きしてもらって、いぶし銀の作品ももっと見せてもらいたいですね。

   
    
   

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  1. 2017/08/28(月) 19:43:42|
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スティーブン・キング原作「IT」のリメイク版トレイラー公開

スティーブン・キング原作、ホラー版「スタンド・バイ・ミー」と呼ばれる名作「IT」のリメイク版トレイラーが公開されましたね。



前回は90年代にテレビシリーズとして映像化されましたが、連続モノならではの尺の長さを利用して、とても見ごたえのある作品でした。
ただ、その長さが災いして冗長と感じさせる面もあり、劇場版として製作されたこのリメイク版の仕上がりは非常に気になりますね。
また、予想外な展開を見せるラストシーンは、テレビ版ではその衝撃よりも予算の関係かあまりにチープな「それ」の姿に愕然。
最後の最後までは本当に面白かったのに、終わり間際の見せ場となるシーンで評価を一気に下げてしまいました。
スティーブン・キングの小説にありがちな、それまでの流れを全てひっくり返すような展開なので、そこがちゃんと作り込んでくれないからなおさら受け入れづらくなってしまったんですね。多分。
そんな賛否両論だったラストのまとめ方にも期待が高まります。
あと、心配していた恐怖の権化として描かれるピエロですが、今回の予告編でチラッと映る姿を見る限りなかなか良さげ。
テレビ版「IT」がトラウマ級の恐怖を生み出したのは、間違いなくティム・カリーが演じたそのキャラクターのおかげです。
リメイク版でもそれに匹敵するキャラクターを作り上げて欲しいですね。

アメリカでは今年の9月公開らしいですが、今から日本で公開されるのが楽しみです。

1990年製作のテレビ版「IT」のレビューはこちら↓↓↓
「イット」 スティーブン・キングの長編小説をTVドラマ化


  


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  1. 2017/03/30(木) 19:34:59|
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「ファイナル・デッドブリッジ」 監督と脚本家を入れ替えてのシリーズ5作目

「ファイナル・デッドブリッジ」
(原題:FINAL DESTINATION 5)
2011年アメリカ映画




イマイチという評判を聞いて未見だった前作「ファイナル・デッドサーキット」を少し前に見た流れで、何となく見てみたシリーズ5作目。
4作目はうわさ通りの出来だったのでこのシリーズはもう見なくていいかな…と思ったのですが、この5作目は監督と脚本家が代わったということでもう一度だけ見てみることにしました。
監督のスティーブン・クォーレは、「タイタニック」や「アバター」の第二班監督を務め、「ファイナル・デッドブリッジ」の次に竜巻映画「イントゥ・ザ・ストーム」を撮った人です。
また脚本はリメイク版「エルム街の悪夢」「遊星からの物体X・ファースト・コンタクト」を書いたエリック・ハイセラー。
この脚本家さん、この後にポール・ウォーカー主演の「ハリケーン・アワー」の脚本&監督を務めた方です。
「ハリケーン・アワー」は、ハリケーンで無人となった街の病院で、保育器から出せない生まれた直後の我が子を守る、新米パパを描いた人間ドラマでした。
日本ではディザスター映画のように宣伝されたためそのイメージで見た方からは評価が低いようですが、限られた狭い舞台の中で展開する低予算作品ながらも、サスペンスと温かみのあるストーリーが個人的にとても心地よかったです。
このあたりの人選を見ると、製作サイドも「ファイナル・デスティネーション」シリーズにテコ入れしようとしたのかな?なんて思えたりしますね。

今回は工事中の橋が崩落するという事故で命拾いした新社会人たちが主人公です。
就職先の研修旅行のためバスに乗っていたところ、主役のお兄ちゃんが事故を予見し、バスを停めて外に飛び出します。
それにつられて数名の男女が下車したところ橋が揺れ始め、全員橋のたもとまでダッシュ!間一髪のところで助かります。
しかし、彼らはもともとその事故で死ぬ運命だったため、その命を奪う為に運命が追いかけてくる。。。

オープニングの橋崩落シーン以降はいつも通りの展開です(笑)
本来橋で死ぬはずだった順番通り、若者たちが一人ずつ無残な死を遂げていきます。
その死の連鎖を止めるためには、誰かが助かってその流れを止めなければいけない。
結局、監督と脚本が代わってもシリーズ一連の連鎖は止められなかったみたいです(汗)
でも、前作「ファイナル・デッドサーキット」と大きく違うのが、シリーズ初期のようなシリアスタッチに軌道修正した点。
前作は悪ふざけが過ぎたためにリアリティが感じられず、また死に方も悪い冗談みたいなシーンばかりでそれがCGの粗となって表れていました。
ヤケクソで暴走したかのような前作よりも、真面目に新しい「ファイナル・デスティネーション」を作り上げたところは評価したいですね。

あと、驚いたのがラストのオチ。
橋の惨劇を乗りた生き残りの若者たちは、新生活を始めるためにパリ行きの飛行機へと搭乗します。
するとその飛行機には、なんと「ファイナル・デスティネーション」1作目の登場人物たちが乗ってるんです!
冒頭からちょっと古めのクルマが多く出ていたので「予算が無かったのかな…」なんて考えていたのですが、この5作目の舞台は、1作目が製作された2000年のアメリカだったんですね。
飛行機から降りる!降りない!と揉めてる彼らを横目に、主人公たちを乗せた飛行機は離陸するのですが…1作目を見た人ならその後どうなるかはご存知ですよね。。。
最近が舞台かと思って見ていたら、5作目のお話は1作目よりも以前に起きた事件だったというオチ。
1作目に対する監督と脚本家のリスペクトを感じずにはいられない展開です。
このラストを見ると、あえてシリーズのお決まりパターンを踏んだのも、旧作に対する敬意の表れなのかなと思えてきますね。

前作のように肉片が飛びまくるような描写は少ないですが、それでも頭部を粉砕したり、路上に転がった眼球をクルマが轢いて潰したり、クレーンのフックが頭部を貫通したりと、容赦ない残酷シーンの連続。
中でも、レーシック手術で使うレーザーが暴走し、肌をジリジリ焼くシーンはきつかったです。
(追記:その後、自身がレーシックの手術を受けることになった際、どれほどこの映画を見たことを後悔したか。。。)

主人公の青年を演じるのはニコラス・ダゴスト、その恋人役は「ウォーキング・デッド」でアンドレアの妹役を演じていたエマ・ベル。
FBI操作官は「レッド・オクトーバーを追え!」でソナーと睨めっこしていたコートニー・B・ヴァンス。
また久々にトニー・トッド(「ファイナル・デスティネーション」「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド死霊創世記」)もシリーズに復活しています。

5作目がヒットしたらさらに続編も作る計画だったようですが、既に5年が経過したのに音沙汰がないということは、これで打ち切りでしょうか?
まあ今作で1作目に話が戻りましたからね、もうこのままそっとしておいてもいいような気もしますね。
シリーズのファンとしてはちょっと寂しい気もしますが。

   


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  1. 2016/09/06(火) 20:16:04|
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「ホーンズ 容疑者と告白の角」 ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ主演のホラー

「ホーンズ 容疑者と告白の角」
(原題:HORNS)
2013年アメリカ/カナダ映画




ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ主演のファンタジックなミステリーホラー作品。
監督はアレクサンドル・アジャ。彼が携わったホラー映画は好きな作品が多いので期待大です。
原作を書いたのはスティーブン・キングの息子で、「クリープショー」でわら人形に針を刺していたジョー・キング改め、ジョー・ヒル。

恋人殺しの疑いをかけられた男、イグは、地元の田舎町を報道陣に追いかけ回されて暮らしていた。
町の人間は誰もがイグが犯人だと決めつけている中、弁護を買って出た弁護士のリーを始めとする幼馴染の仲間たちは彼を励ましていた。
ある朝目覚めると、自分の額の左右に突起が出来ている事に気付くイグ。
突起はあっという間に皮膚を突き破り、現れたのは二本の角。
不思議なことに、角の生えたイグを前にした人は隠した醜い本性を露わにして、人を罵ったり欲望を剥き出しにする。
突如得たその能力を使い、イグは恋人を殺した犯人を追い詰めてゆく。。。

ラドクリフ君が出てるという事でソフトなホラー風アイドルムービーかと思って見始めましたが、いやいや、結構えげつないです。
あのハリー・ポッターに、あんな事やこんな事をさせてしまうのですから本当にびっくりです。
最後の方はハリー・ポッターファンは衝撃的過ぎて卒倒しちゃうかも。
ただ、お話はアジャ監督作品としては流血やグロ描写は控え目な方で、ホラーでありながらミステリー要素の強いダークファンタジーといった感じもあります。
恋人が殺されるという悲劇的な作品でありながら、オープニングに繋がるエンディングでちゃんと救われます。
このラストシーンにロマンティックが止まりませんでした。

他の出演者は、殺される恋人メリン役が「ミスター・ノーバディ」のジュノ・テンプル、弁護士リー役はアンソニー・ミンゲラ監督の息子であるマックス・ミンゲラ、主人公のお兄ちゃん役はリメイク版「ザ・クレイジーズ」のジョー・アンダーソン、同じくお父さん役は「ワイルドスピード2」のジェームズ・レマー、お母さん役は「ヒルズ・ハブ・アイズ」のキャスリーン・クインラン、メリンのお父さんは「グリーンマイル」のデヴィッド・ モース、むかつくけどエロかわいいウェイトレスに「キリング・ミー・ソフトリー」のヘザー・グラハム。
結構有名な俳優が大勢出演していますが、中でもやはりダニエル・ラドクリフの存在感は抜群で、非常に魅力的です。
単なる子役上がりのアイドル俳優ではない事を証明していますね。
「ハリー・ポッターの~」という肩書きが外れるのに時間はかからなそうです。
ちなみに「ロード・オブ・ザリング」のイライジャ・ウッドもアジャ監督が製作した「マニアック」で起用されていますが、あちらは変態殺人鬼を演じさせられてちょっと可哀想でした(笑)

では、ぼちぼちネタバレいきます。

ラドクリフ君の角、予想通り悪魔の角でした。
信心深い彼女を救ってくれなかった神を侮蔑した事が原因のようです。
悪魔の角であることを暗示するかのように、オープニングから悪魔絡みの隠れキャラがあちらこちらに仕込まれています。
例えば主人公の愛車がAMCグレムリンだったり、テレビでは悪魔が登場するアニメが流れていたり。
悪魔の能力に目覚めてからは無数の蛇が彼の後を着いてきたり、悪魔と言えばお約束の三つ又よろしく干し草用フォークを持ってみたりと、ステレオタイプな悪魔像を見せてくれます。
最後の最後、ついに正体を現す悪魔は「レジェンド/光と闇の伝説」の魔王のようで、もうラドクリフ君の面影もありません。(でも格好いい♪)
あと、イグが触れた相手の悪しき行いを見通す事が出来るシーンは、原作者ジョー・ヒルのお父さんの「デッド・ゾーン」に通じる描写でちょっと嬉しかったです。

今回は回想シーンを使って上手く謎解きを見せてくれたアレクサンドル・アジャ監督。
この人、ちゃんと計算して作品を作っているのがよく分かります。
やはりそんじょそこらのホラー映画監督とは一味違いますね。
そんなアジャ監督作品の中でもこの「ホーンズ」は、作品としての完成度も高くお気に入りの一本です。

 


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  1. 2016/03/12(土) 18:16:18|
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「クリープショー」 北米盤Blu-rayをGET!

ずっと待ち続けているのに、全く発売の情報が聞こえてこない日本版「クリープショー」。
以前の日本版DVDは持っていますが、画質がとにかく酷い。
で、痺れを切らしてついに北米版Blu-rayを購入しちゃいました。
日本のamazonから購入可能で、新品が送料込みで¥1,520という激安です♪
注文から16日でアメリカから到着しました~。

パッケージはBlu-rayならではの青いプラケースですが、日本では見た事が無い薄くてペラペラなケース。
激安価格の理由はこれか?
でもディスクの方は死神のイラストが描かれたピクチャーディスクでした。

北米版のためリージョンAで、日本のプレイヤーでも問題なく再生可能です。
念のために言っておくと、日本語字幕、日本語吹き替えともにありません。
その代わり、英語字幕が出せるので、多少英語が分かる人ならいけると思います。
ちなみに自分は英語が喋れる訳ではありませんが、7割くらいは理解できたかな。
オムニバスですから、そんなに会話も複雑ではありませんし。
(VHSとDVDを何度も見てるので、セリフが記憶されちゃっている部分もありましたが)
音声はドルビーTrueHD2.0で、旧DVDの酷い仕様で見てた自分には十分満足できるレベルです。
映像に関しても鮮明で、特に気になる乱れなども無く、不満はありませんでした。
色彩の発色も良く、毒々しい照明効果も非常に美しく感じられました。
生涯見た中で間違いなくこれが最も奇麗な「クリープショー」です。

日本語じゃないというデメリットはありますが、ガサガサな映像の上に高額な旧日本語版DVDを買う位なら、絶対にこっちの方がお得だと思います。
1500円程度なら例え失敗しても痛くはないですし。
いつ出るか分からない日本語版Blu-ray「クリープショー」までの繋ぎとして、これから繰り返し楽しもうと思います!

【「クリープショー」の作品レビューはこちら】





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  1. 2016/02/09(火) 19:13:27|
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「ウィッカーマン」 イギリス製傑作カルトホラー

「ウィッカーマン」
(原題:THE WICKER MAN)
1973年イギリス映画




公開から時間が経つにつれて評価が高まっていった伝説のカルトホラー。
自分は25年くらい前でしょうか、ホラー映画雑誌で褒め称えられていたのを見てレンタルビデオ店で借りて見ました。
その時ですら製作から長い時間を経過していましたが、全く色褪せてなく、当時10代だった自分に衝撃を与えてくれました。

まず予備知識。
ウィッカーマンとは、古代ガリアで信仰されていたドルイド教の宗教儀式で使われる巨大な人型の檻で、中に生贄として捧げる家畜や人間を閉じ込めたまま焼き殺すための道具…的なことがWikiに書いてありました。
「人間を閉じ込めたまま焼き殺すための道具」なんてイヤ~な感じですよね。
この映画の中に出てくるウィッカーマンも、その役目をしっかり果たす事になります。。。

ロンドンの警察へ、イギリスの離島であるサマーアイル島でローワンという少女が行方不明になっていると匿名の情報が寄せられる。
調査の為、単身で飛行機を操縦して島を訪れたハウイー巡査がまず見たのは、性の営みに開放的な島民たちの姿だった。
彼らは島を治めるサマーアイル卿(クリストファー・リー)に服従しており、キリスト教徒は異なる独自のドルイド信仰を持っていた。
島では毎年、海産物、農産物の豊漁、豊作を祈願するメイデイという祭りが行われており、今年も間もなく行われるその準備が進められている。
そんな島民たちへローワンについて聞き取りを行うが、彼らは口を揃えてそんな娘は居ないと言う。
しかし、学校の名簿にはしっかりとその名前が残されていた。
その年、名産品であるリンゴが凶作だった事から、ハウイー巡査はローワンが生贄として殺されるのではないかと疑う。
祭りの当日、宿でウトウトしている巡査に、宿の主人が目覚めないようにする呪いをかけるために、切断された死人の手を置いてゆく。
眠りに落ちる前に目覚めた巡査はその手を払い落とし、主人に襲い掛かり縛り上げた。
そして、主人が被るはずだった祭りの仮装を被り、祭りの行列へと紛れ込んでゆく。
島中を練り歩いた一行が海辺にやってくると、白い装束に身を包んだ少女、ローワンが連れて来られる。
殺される前に救い出そうとハウイー巡査はローワンの腕を掴み、海辺の洞窟の中へと逃げ込む。
少女の案内で洞窟を抜けて絶壁の上の丘に出ると、そこにはサマーアイル卿と全島民と共に、木で組まれた巨大な像、ウィッカーマンが待ち構えてい た。
ローワンは巡査をその場所へ連れ出すための罠だったのだ。
サマーアイル卿は、生贄として成人のバージンを探していた。
敬虔なクリスチャンであるハウイー巡査は婚約者がありながら、結婚するまでは純潔を守る事を信念としていた。
さらに、法の番人である彼は生贄として最適だとして、少女失踪事件をでっち上げて彼を島へと誘導したのだった。
こうして捕えられたハウイー巡査はウィッカーマンに閉じ込められ、全島民たちが見守る中、火が放たれる。。。

少女を助けようとやってきた真面目なキリスト教信者である警官が、邪教集団に焼き殺されるという何とも衝撃的な結末が用意されています。
祭りへ向けて島中が浮かれる明るい雰囲気は、生贄に火を放つ場面でピークに達します。
島民が集まって歌い、踊る中で、生きたまま焼かれる生贄…。このギャップが背筋をゾクゾクさせます。
生贄を捧げた太陽を前にウィッカーマンが崩れ落ちるラストシーンも素晴らしい。

この作品の個性的な部分として、ミュージカルではないんだけど所々で登場人物が歌う場面があります。
ミュージカルが苦手な人って「どーしてそこで歌って踊る必要が!?」っていう違和感を感じていると思うんですけど、そう思う一歩手前なので許容できると思います。
特に、宿の看板娘であるウィローちゃんが、隣の部屋の巡査を誘惑しようと壁越しに全裸で踊るシーンは必見です。
演じるのは後のボンドガール、ブリット・エクランド。エロく、明るく、美しい彼女のダンスは目に焼き付いて離れなくなりますぜ、旦那。

ところで、イギリスの怪奇映画というとエロチックはつきもの。
見えそうで見えないけどねちっこいエロさがたまりません。
この作品では裸がおっぱい…じゃなくていっぱい出てきます。
もろ出しおっぱいなんですけど、ハマーフィルムのようにまとわりつくようなエロい雰囲気はなく、スカッと爽やか、一歩間違うと「死霊の盆踊り」的 な明るいエロさが心地いい。
書いててよく分からなくなってきましたが、きっと見てもらえれば分かって頂けるはず。

出演は、ドラキュラやドゥークー伯爵で有名なクリストファー・リー、「ホットファズ」「キング・ダビデ」のエドワード・ウッドワード、「007/黄金銃を持つ男」のブリット・エクランド、「バンパイア・ラヴァーズ」「鮮血の処女狩り」のイングリッド・ピットなど。

この「ウィッカーマン」、後に高い評価を受ける事になりますが、公開当時の扱いは酷いものでした。
映画会社の都合によりカットが繰り返され、いくつものシーンが失われてしまいました。
ところが、公開から何年も経ってから、スタッフや出演したクリストファー・リーの努力により、いくつかのシーンが発掘されました。
この辺のエピソードは、日本版DVDの映像特典のドキュメンタリーで語られているので必見です。
実はワタクシ、一番短い87分版しか見た事がありません。
もともと120分あったという完全版は既に失われているため見る事が出来ませんが、海外で発売されている99分版が見てみたいんですよね。
それにしても、こんな面白い作品を切り刻んだプロデューサー、マイケル・ディーリーが恨めしいわ。

あ、ちなみに、「ウィッカーマン」の大ファンとして知られるニコラス・ケイジが2006年にリメイクしましたが、あちらは時間の無駄なので見なくて大丈夫ですので(笑)

 

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  1. 2015/10/06(火) 19:10:49|
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「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」 北米で放送禁止になった三池崇史監督作品

「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」
(原題:IMPRINT)
2006年アメリカテレビシリーズ




三池崇史監督の短編です。
ホラー映画界の大御所監督がそれぞれ1時間程度の持ち時間で、一話完結の短編を持ち寄って放送されたテレビシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」。その1stシーズンに含まれていた作品。
このプロジェクトに参加したのは、ジョン・カーペンター、ジョン・ランディス、トビー・フーパー、ダリオ・アルジェント、ジョー・ダンテ、ドン・コスカレリなどなど、どの監督もホラー映画ファンなら一度は聞いた事のある超有名監督ばかり。
その中に三池監督が入っていると聞いた時は、同じ日本人としてヒジョーに誇らしかったです。
ところがです。残念なことに「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」はアメリカでは放送されなかったそうです。
余りにも凄まじい内容であるため、テレビ局側が三池監督のこの作品のみ放送を見送ったとか。
残酷描写には甘いアメリカのケーブルテレビでさえ放送できないなんてどんな作品だったのか…

惚れた女郎、小桃を探して離島の遊郭を訪れたアメリカ人記者クリストファー。
しかし島の人間から小桃の情報は得られず、一泊して翌朝の船で帰る事にした。
その夜、クリストファーは遊郭の陰に潜むように佇んでいた女郎の事が気になり、部屋に呼び寄せた。
部屋の明かりに照らし出された女の顔は、半分が鬼のようにつり上がった奇形だった。
その女に小桃の事を尋ねると、男が迎えに来るのを待っていたが、つい先日死んで葬られたと聞かされる。
絶望するクリストファーにそっと寄り添う女。
女が身の上話を語り始めるとその不幸な生い立ちに興味を惹かれた男は、次々と過去を聞き出そうとする。
そのうち女は、遊郭の女主人の指輪を盗んだ事を白状し、その犯人と間違われた小桃が惨たらしい拷問を受け、そして、瀕死の小桃を極楽へ送るために自分が絞殺した事を告白する。
激高するクリストファーに対し、自分が過ごした異常な幼少期からの人生を語り出し、そして、衝撃の事実を明かす。。。

これはね、ちょっと危険な映画です。
一人の女を探しに来たせいで次々と色々な事実が明らかになっていくのですが、それがどれも病んでるエピソードでヤバイ。
明かされてゆく内容が、奇形、シャム双生児、近親相姦、堕胎、嬰児殺し、親殺し…といったタブーの盛り合わせ。
一般的な映像作家が描くのを躊躇しそうな内容を全部盛り込んで描いちゃった感じです。
遊郭で客引きやってる小人のおばさんなんて、梅毒かなんかで鼻が半分無いし。
これじゃ確かに放送できませんね。

小桃の拷問シーンも酷い。
束ねて火をつけた線香を脇の下に押し付けたり、手の全部の爪の間に針をブスブス刺したり、唇をめくって歯茎に針を刺したりと、見てるだけで神経が疼くような痛いシーンの連続。
三池監督自身も出演したイーライ・ロス監督「ホステル」の拷問シーン以上でした。
ここまで痛いのは「キラー・デンティスト」以来かな(汗)

そんな容赦のない映像で、三池監督はベテラン大物ホラー映画監督たちを差し置いて放送禁止という快挙を成し遂げた訳です。

ドロドロした暗い舞台でありながら、照明や登場人物の髪に色を付けたり、また衣装デザインもちょっとモダンになってたりと、作品全体がポップかつ毒々しい雰囲気に彩られています。
日本の山村の風景が幻想的に映し出されます。
テーマはえげつないのにどことなくアーティスティック。
三池監督、すごいです。

出演者は、奇形の女郎に工藤夕貴。彼女で持ってる映画といっても過言じゃない存在感です。
クリストファー役は、「アンタッチャブル」で殺し屋を演じたビリー・ドラゴ。
女郎の女主人は、朝ドラ「まれ」で掃除のおばちゃんを演じていた根岸季衣。
小桃を虐める拷問人が「ぼっけえ、きょうてえ」の原作者である岩井志麻子。←怖すぎ 

出ている俳優は日本人が中心ですが、言語は英語です。
日本語吹き替えで見た方が雰囲気がありそうなのですが、残念ながらDVDは英語音声&字幕のみ。
ちょっと残念ですね。

撮影手法は日本映画的な長回しが中心です。
舞台の演技をそのまま録画したような撮り方ですね。
個人的にはアメリカ映画のように細かくカットを分け、状況を見せる引きの映像と、登場人物の表情を見せる寄りの映像を使い分けた方が好きなのですが、海外で勝負するにあたっては日本的な見せ方の方が効果的ですね。

実は、DVD発売前から見たいと思っていたにも関わらず、60分の短編DVDにお金を出すのが何となく惜しくて見てなかったんです。
で、ちょっと前に意を決して購入して見たのですが、いや~、例え短編でもこれはお金を出す価値は十分にありますね。
下手な90分の劇場用映画を買うより全然濃厚。
日本のホラー映画新時代を築いた一本として激しくお勧めします♪



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  1. 2015/09/28(月) 00:41:44|
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「キャビン」 こんな切り口のホラー映画見た事ない!お勧めです!!

「キャビン」
(原題:CABIN IN THE WOODS)
2012年アメリカ映画




奥深い森の中の山小屋で、若者が何者かに次々と殺されていくありがちなホラーです。途中までは。
ホラー映画の王道的シチュエーションで物語が展開していくのですが、それとは別の伏線が同時進行していき、その二つの流れが後半で一つに交わる時に大変な事が起きます。
今までに無い視点での展開がとにかく新鮮!
「13日の金曜日」をはじめとするスラッシャーホラーや、「死霊のはらわた」などのスプラッター映画に詳しい人ほど、この意外な視点に共感し、楽しむ事が出来ます!!
ホラー映画ファンが喜ぶようなパロディ要素もあるのですが、単なるパロディ映画ではなく、B級ホラー映画そのものを裏側から覗き見するような仕掛けに、私は終始笑みが止まりませんでした♪

5人組の高校生グループがキャンピングカー(「悪魔の追跡」風)に乗り込み、森の小屋(「死霊のはらわた」風)へと出発します。
こんな具合にホラー映画の定番パターンの再現をちょいちょい挟み込みつつ展開するので、ホラーファンは気が抜けません。
女子メンバーは、清楚な処女と、奔放なセクシー美女の2人、男子はマッチョのイケメン、浮いた存在の変人ジャンキー、普通の好青年の3人。
このメンバー構成が既にB級ホラーあるある状態。

この辺りは見慣れたホラー映画の導入部分なのですが、その彼らの動向を密かに監視する謎の男が居ます。
しかも殺人鬼や悪霊といったホラー映画的な男ではなく、諜報部員のような雰囲気の男です。
無線機で高校生たちが小屋へ向けて出発した事を伝えた先は、どこかの秘密組織の地下施設。
そこでは白衣を着た技術者たちが、隠しカメラで撮影された高校生たちの様子を多数のモニターで監視しています。
その組織は、「古代の神」の怒りを鎮めるため、小屋で若者たちを死に至らしめる事を目的としている集団。
若者たちが宿泊する小屋は、組織により様々な仕掛けが隠されており、それらは遠隔操作でコントロールする事が可能。

怪しいガソリンスタンドに立ち寄りつつ、目的地の小屋に着いた若者たちは、まず湖で水浴びに興じ、そして夜になれば小屋でパーティを開く。まさにB級ホラーの定番パターン(笑)
乱痴気騒ぎが盛り上がって来た時、地下室へ通じる階段の扉が開けられ、組織に導かれているとは知らない若者たちは地下室へと降りてゆく。
そこには、どこかのホラー映画で見たような怪しいアイテムが多数置かれている。
その中から一冊の本を手に取り、書かれた呪文を読み上げると、小屋の周りの地中から死者が這い出てきた。
そして若者たちが襲われる訳なのですが、B級ホラー映画の定石に反した動きをしようとすると、組織の仕掛けにより死亡フラグが立ちそうな行動へと仕向けられます。
例えば、単独行動、エッチ etc. ホラー映画でやったら殺されるパターンを選ばされてしまう訳です。

そして「古代の神」が望む形として、「処女が生き残る」パターンを作るべく組織が手を尽くすのですが、さっさと殺されたと思われたジャンキー少年がちゃっかり生き残っており、処女とゾンビの対決場面に現れた事で予想外の展開に。
この少年、森の中で地下に下りる謎のエレベーターを発見しちゃいます。
なんとこれが組織の施設へと繋がる秘密の入り口だったんです。
処女とジャンキーが施設に侵入すると組織の警備員に殺されそうになりますが、そこには様々なモンスターや霊などが閉じ込められており、それらを一気に解放した事で地下施設は地獄絵図と化します。
混乱の中、施設内を逃げ惑っているうちに、壁画に囲まれた不思議な部屋に辿り着きます。
その部屋こそ、「古代の神」を鎮める儀式を行う場所だったのです。
そこに施設の館長(なんとシガーニー・ウィーバー!)が登場し、世界を守るためにはジャンキー少年が死に、処女が生き残る必要があると言われますが、館長を倒して二人とも生き残ります。
すると、突如地面が吹き飛び、怒り狂った「古代の神」が地中より現れ、全てを破壊し。。。。

この組織の活動は世界中で行われており、日本もその中のひとつ。
日本ではJホラーのような恐怖演出が実行されていました。
その他の国でもどこかで見た事があるようなホラーな展開が映し出されます。

地下に閉じ込められていた化け物たちは、被害者たちが選択した展開に合わせ、それぞれがプロジェクトに引っ張り出されます。
このアメリカの小屋では、たまたま読み上げた呪文がゾンビ復活の言葉だったので、ストックされているモンスターの中からゾンビが使われたんですね。
この組織がホラーキャラクターを一括管理しているというのが面白いです。
「ヘルレイザー」の魔導士に似ているキャラクターなど、他のモンスターたちの顔触れもバラエティに富んでて楽しいですよ。

清純少女を演じるのはバリー・レヴィンソンの「ザ・ベイ」にも出ていたクリステン・コノリー。日本人ウケしそうな美人女優さんです。
イケメンマッチョは「マイティ・ソー」「レッド・ドーン」のクリス・ヘムズワース。
ジャンキー少年はM・ナイト・シャマランの「ヴィレッジ」などに出ているフラン・クランツ。
監督は「クローバーフィールド」「ワールドウォーZ」の脚本を担当していたドリュー・ゴダード。
脚本はドリュー・ゴダード監督と、「アベンジャーズ」の監督/脚本のジョス・ウィードンの共作です。
特殊メイクは大勢関わっていますが、有名どころではデヴィッド・リロイ・アンダーソンがいます。あの「エルム街の~」のナンシー役ヘザー・ランゲンカンプの旦那さん。
そしてそのヘザー・ランゲンカンプも特殊メイクアーティストとして参加しています。

最初に見た時は【なぜホラー映画の定番パターンを再現する必要があったのか?】という疑問があったんです。
生贄が必要ならただ殺せばいいじゃないかと思いました。
そして【「古代の神」の正体】も有耶無耶でした。
でも二回目に見て分かりました♪
「古代の神」ってホラー映画ファンの化身なんですね!
アメリカの劇場でホラー映画を見ると分かるんですが、あちらの観客、定番パターンで殺されるとなぜか喜ぶんです。
エッチして美味しい思いした直後のイケメンが殺されたりすると拍手喝采(笑)
逆に、美女が殺されてむさ苦しい男が生き残ったりすると猛烈なブーイング(爆)
お決まりパターンじゃないと喜ばないアホな観客が「古代の神」な訳です。
「毎回毎回同じ事で喜んでるお前らはバカか!」という制作者サイドからの痛烈な皮肉が込められてるように感じました。
ホラーファン(観客)を化け物扱いとはなかなかやってくれます(笑)
自分も「13日の金曜日」を初めとする似たようなホラー映画が大好きな「古代の神」です。
だって、定石をひっくり返した「新・13日の金曜日」あたりは許せなかったですから。
ホラー映画ファンの事をよく理解してる製作者ですねぇ。ある意味感心しました。

そんな訳で、ちょっと自虐的なB級ホラー映画ファンには堪らない作品です。
その辺りが理解できない人には、仕掛けは面白いけどよく分からん…程度の評価になるのかもしれません。
とりあえず、世のホラー映画ファンの方は見ておくべき一本だと思います!!

 

テーマ:ホラー映画 - ジャンル:映画

  1. 2015/06/05(金) 19:28:32|
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「パトリック 戦慄病棟」 佳作サスペンスホラーのリメイク

「パトリック 戦慄病棟」
(原題:PATRICK)
2013年オーストラリア映画




1978年にリチャード・フランクリン監督が撮った「パトリック」のリメイクです。
オリジナル版は、「リンク」「サイコ2」を見てリチャード・フランクリン監督を知り、その当時激しくB級臭を発散していたパッケージのビデオをレンタルして見ました。
見るからに低予算ではありましたが、「ヒッチコックの後継者」と言われたリチャード・フランクリン監督らしいひねりの利いたサスペンスホラーでした。

そのリメイクである本作品もオリジナルと同じくオーストラリアで制作されています。
メガホンを取ったのはマーク・ハートリーというオーストラリアの監督さんで、多数のドキュメンタリーを手掛けてきた方のようです。
リチャード・フランクリン監督亡き今、「ヒッチコックの後継者」…の後継者になれるでしょうか!?


昏睡状態の患者を専門に診る個人病院で働く事になった看護婦キャシー。
院長は昏睡患者の研究をする.ロジェット医師で、その娘が婦長として看護婦たちをまとめていた。
病院の個室にはパトリックという青年が入院していたが、昏睡状態の彼の周りでは物がひとりでに動いたりといった不思議な現象が起きていた。
ロジェットはそんなパトリックを実験台として、電流を流したり、手を焼いたりしてその反応を観察していた。

ある日、病室で彼の世話をしていたキャシーは、パトリックが彼女の問いかけに反応し、意思の疎通が図れる事に気付く。
そして、病室のパソコンのキーボードが勝手に押下され、画面には彼の言葉が並んだ。
パトリックは体を動かす事が出来ないが意識はあり、また自分が持つ強大な超能力を利用し、物に触れなくともコントロールする事が可能だったのだ。
その事をロジェットに伝えるが、パトリックは他の人間がいる時には反応を見せない。
二人きりになった時にパトリックを問い詰めると、キャシーへ好意があり、彼女を見つめていたいから昏睡のフリをしていると言う。
また、彼には秘密があるというがそれを明かそうとはしなかった。

プライベートでキャシーは、同僚の看護婦に紹介された精神科医とデートを重ねていた。
パトリックはそれを邪魔する為、精神科医の体をコントロールし、キャシーに嫌われるように仕向け、自らの体を傷付けさせた。
それでもキャシーを諦めない医師は、パトリックに車ごと崖からダイブさせされ、殺されてしまう。
さらに、別居中のキャシーの旦那エドも復縁を迫るために現れたが、パトリックはベッドに横たわったまま、その力でエドを冷凍庫に監禁してしまう。
そして、自分の物になればエドを解放してやるとキャシーに迫る。。。


超能力者に魅入られた女性の恐怖を描いています。
パトリック君はマザコン青年で、男とイチャイチャする母親を殺したという過去を持っています。
そして自らも自殺しようとしたのですが、死にきれず昏睡状態に陥ってしまいました。
そんなパトリック君なので、キャシーへ求める愛の形も歪んでいて気持ち悪いんです。

このリメイク版、オリジナル版を忠実に再現しているので旧作のファンでも抵抗なく見れると思います。
オリジナル版を最後に見たのはもう何十年も前なので、程よくうろ覚えで、適度に新鮮、適度にノスタルジックに楽しめました。
ただ、オリジナルを知っている人間にとっては新鮮さが弱く感じてしまうのも事実。
もうちょっと新しい仕掛けがあっても良かったかな、とも思います。
でも最後、動けないはずのパトリックが「びょーん!」のシーンは蛇足だったかな。

低予算丸出しだった旧作よりもセットの作り込みなどは比べ物にならないくらいちゃんとしており、病院の雰囲気などは格段にアップしています。
お話のテンポも良く、フツーに楽しめる作品ですね。
よくまとまった作品ではあるのですが、まとまり過ぎてちょっと印象が薄くなっちゃった感も否めません。
旧作「パトリック」のように、ちょっとヤバイ映画見ちゃったかも!という変な後ろめたさみたいなものもありませんでしたし。

主人公キャシーを演じるのは、「サプライズ」で殺人集団をばったばったとなぎ倒したシャーニ・ヴィンソン。特徴のある顔なので一度見たら忘れませんね。
パトリックを虐める院長は、「エイリアン3」「ラスト・アクション・ヒーロー」のチャールズ・ダンス。
怖い婦長さんは「オールド・ルーキー」「ブロウ」のレイチェル・グリフィス。
崖から落とされて死んでしまう精神科医は、どこかで見た事あるな~と思いつつググったら、「バイオ・ハザード」の1作目に出てたマーティン・クルーズでした。おじさんになりましたね(笑)

時間は96分、グロ控え目、そしてほどほどに怖い。
気楽に見れるサイキックホラーの佳作です!

 

テーマ:ホラー映画 - ジャンル:映画

  1. 2015/05/17(日) 00:15:49|
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「ザ・ベイ」 アカデミー賞受賞監督が撮ったPOVホラー

「ザ・ベイ」
(原題:THE BAY)
2012年アメリカ映画




「レインマン」「グッドモーニング、ベトナム」「ダイナー」「わが心のボルチモア」など、名作を撮っているバリー・レヴィンソン監督作品。
アカデミー賞受賞監督が作ったホラー映画として興味津々なのはもちろんですが、ファウンドフッテージというベタなスタイルを選んだ事に驚きました。
今や使い古された感もある流行りの手法を、名匠がどう生まれ変わらせてくれるのか期待が高まります♪
使われる映像は、TVクルーのカメラ、防犯カメラ、ビデオカメラ、スマホカメラ、車載カメラ、Skypeなど。
様々なカメラ映像を繋ぎ合わせる事で、それぞれの場面に臨場感を生んでいます。

ストーリーというよりも、町内で起きたハプニングをそれぞれのカメラで捉えた動画で断片的に紹介していく流れです。
それぞれの動画に記録された内容から最終的に結論に到達する事になるんです。

【舞台】
・メリーランド州のチェサピーク湾にある田舎町クラリッジ
・町の経済を支えるのは多数の養鶏所
・養鶏所から出る鶏の糞が海に捨てられている
・鶏には発育を促進するための薬品を投与されている
・町民は海水をろ過して飲料水に用いている

【事件】
・原因不明の伝染病が発生し、体中に疱疹ができた感染者が大量の血を吐いて息絶える
・海の魚が大量死
・海底を調査すると大量の鶏の糞が堆積し、生物が4割ほど減少
・死んだ魚の体内から多数の寄生虫が発見される
・本来小型の寄生虫が、糞の影響からか巨大化
・飲料水に卵?幼虫?が紛れ込み、人間の体内でも成長
・犠牲者は感染症のような症状の後、内臓や舌を食い荒らされて絶命している事が発覚

こんな流れで街が壊滅するまでを描いていきます。

寄生虫はダンゴムシのお化けみたいな感じ。
小さければ何てことない姿ですが、でかいと宇宙生物みたいでかなりグロいです。
またこの虫に食い殺された犠牲者の体もかなり酷い事になってまして、凄惨な遺体がちょこちょこ出てきます。

ファウンドフッテージものとしてはカメラの使い方が効果的で、先にも書いた通り臨場感があります。
おかげで結構生々しく、ドキドキする場面も多数ありました。

ただ謎は結構早い段階で予想できてしまうので、展開に意外性や驚きはありませんでした。
登場人物の描写が弱く、襲われた人々への感情移入が難しかったのもマイナスポイント。
また冒頭、事件が揉み消されたという陰謀説が語られるのですが、いまいち説明が弱く、ドロドロしたダークさが出し切れていないのもちょっと惜しかった。

ファウンドフッテージとしてはその手法を上手く利用してて好感が持てます。
でも「ちょっとよく出来てるB級パニックホラー」の域を出ていないんです。
はたしてバリー・レヴィンソンがこれを撮る必要があったのでしょうか?

ちなみに、プロデューサーとして「パラノーマル・アクティビティ」の監督、オーレン・ペリが名を連ねていたりします。
何となく「パラノーマル~」っぽいところがあったのは彼の影響?




テーマ:ホラー映画 - ジャンル:映画

  1. 2015/05/14(木) 19:07:08|
  2. ホラー
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かひ

Author:かひ
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